Russian Indie Guide-ロシアのインディーロックガイド

ロシアのインディーロック、その知られざる素晴らしき世界

TaMtAm - 90年代サンクトペテルブルク・オルタナシーンを作ったロシア初の民間クラブ

Chimera(Тотальный джаз: группа «Химера» и потерянное поколение「トータル・ジャズ:キメラ・グループとロスト・ジェネレーション」より

レニングラードと呼ばれていた街は、1991年のソ連崩壊で以前の名前の「サンクトペテルブルク」を取り戻した。ソ連時代からこの街は最先端のトレンドセッターであった。そんな90年代サンクトペテルブルクアンダーグラウンドシーンの中心となったのが、ロシア初の民間経営のクラブ「TaMtAm」だった。「ロシアのCBGB」と呼ばれるTaMtAmによってロシアのオルタナティブロックシーンの基礎が作られ、巣立ったバンドにはロシアを代表するスターになった者もいた。

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プレイリストを更新しました

実はこのブログにはプレイリストがあるんですが(「このブログについて」のページなどに貼ってあります)、なかなか気付かれなさそうなので目立たせるためにこの記事を作りました。

このプレイリストはブログを開設する前の、ウクライナ侵攻が始まった直後に作りました。2019年末頃からロシアのインディーロックを掘っていた私は、いいバンドを見付けるとせっせとTwitter(X)の個人アカで紹介していました。まぁ正直みんな興味があったのかどうなのか全然分かりませんが、自分用の備忘録的に書いていたのもあります。
そんな風にしてすっかりロシアのバンドにも親近感を持っていた所にロシアのウクライナ侵攻が起こったので、あの時の私の気持ちは「殺人犯の家族」にでもなったかのような、複雑な罪悪感のようなものがありました。
でも私が紹介してきたようなバンドはみなウクライナ侵攻に反対の声を上げていたので、「ロシアにもこんなに戦争に反対している人たちがいるんだよ」と訴えたいような気持ちで、このプレイリストを急遽作りました。

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日本語で分かる普通のロシア

1420 by Daniil Orainより

ここまでいろいろとロシアの音楽について書いてきたが、ロシアの普通の人々の生活はどんな感じなんだろう?と思う方も多いのではないかと思う。アメリカやイギリスの音楽を聴く時、映画やドラマなどで現地の生活はなんとなく伝わってくるのでバックグラウンドは理解しやすいが、ロシアのホームドラマなんて日本では全く放送されないのでさっぱり分からない。また、本屋でロシアものを探しても政治や軍事関係ばかりで、普通のロシア人の生活が窺えるものは全然ない。
そんな訳で、私もロシアの音楽を掘り始めたと同時に手探りでロシアの情報を集めるようになった。この記事では私自身が役立った「日本語で分かる普通のロシア」の情報ソースを挙げていきたいと思う。

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Instagramで自分の音楽ルーツを振り返る連載記事を始めました

前々から自分の音楽遍歴をどこかで書いておいた方がいいなと思っていましたが、このブログのInstagramアカウントで書くことにしました。一体どういう音楽遍歴を重ねてきたらロシアのインディーロックなんていうどニッチな所に行きつくのか、というのは皆さん興味があるんじゃないかと。
でもこのブログで書くと、そっちの方で検索されて「ロシアになんか興味ない」と思われるのも残念なので、テキスト検索できないInstagramでやる事にしました。これはあくまでも付随情報なのでこのブログで書くのはふさわしくないと思いました。

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ソ連時代のニューウェイブ - 80年代「裏」ソ連ロック史

Alyans
Lenta.ru 『「私たちはとてもふわふわしていました」30 年後、全世界がソビエトのロマン派について知りました。アライアンスは突然の名声についてどう思いますか?』より

ロシアのロックの「正史」「総論」みたいなものは大体書いたと思うので、今後は「各論」のようなものを書いていきたいと思う。

ソ連時代の80年代にロック革命が起きた事は「ソ連時代のロック」の記事で書いたが、この記事で扱ったのは(ツォイが死亡したので解散したKinoを除いて)90年代以降もメインストリームで商業的に成功したバンド達である。これらのバンドはパンク/ニューウェイブ出身者が多いが、よりロシア国内で受け入れられやすいスタイルで演奏していた。こういったバンドは狭義で「ロシアンロック」と呼ばれる。当時の歴史的な事はこちらの記事で詳しく書いたので読んでほしい。

しかし海外のニューウェイブをそのまま移植したような、より尖ったバンド達も存在していた。日本で例えると、ロシアンロックのバンド達がBOØWY(ボウイ)やレベッカのような歌謡曲っぽいロックバンドだとしたら、こうした尖り系はインディーズのナゴムレコードやトランスレコードのバンドのような存在である。要するに売れ線ではなくもっとアンダーグラウンド志向、アート志向のバンドだ。ロシアンロックは「表ソ連ロック」で、「裏ソ連ロック」はよりアーティスティックな方向性のバンドだ。

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Sonic DeathのInstagramで紹介してくれました

 

ちょっと前の事で書きそびれましたが、InstagramでSonic Deathがこのブログの事をストーリーで紹介してくれました!↑はそれをこのブログのインスタアカウントのリールにしたものです(インスタはひっそりとやってていいねもフォロワーも少なくて恥ずかしいんですがw)。

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