Russian Indie Guide-ロシアのインディーロックガイド

ロシアのインディーロック、その知られざる素晴らしき世界

長い事音楽を掘り続けていたら、ロシアのインディーロックにたどり着いてしまいました。たまたま知ったロシアのバンドをきっかけに掘り始めましたが、現代ロシアのインディーシーンの充実ぶりとその洗練度合いに心底驚きました。こんなに高度なレベルに達しているのに、なぜ日本はおろか海外でもほとんど知られていないのだろうと不思議でなりませんでした。ちょうどコロナのパンデミックに入る直前の事でした。ロシア語も読めないしロシアに行った事もありませんが、自粛期間はサブスク音源と翻訳ツールを駆使して聴きまくり調べまくりました。

私がロシアのインディーロックを掘り始めたのとほぼ同時期に、ベラルーシのMolchat Domaがアメリカのレーベルと契約し、海外でどんどん人気が出ていきました。コロナ禍の孤独な自粛期間と彼らの音楽は非常に相性が良く、「Russian Doomer Music」と海外で呼ばれる彼らのような音楽がYouTubeで驚異的な再生数を記録していきました。 詳しく調べれば調べるほど、社会の動きとこういった陰鬱な音楽の人気がリンクしていたのは面白い現象でした。ロシア内部でもちゃんと政治の動きとリンクしていて、生まれるべくして生まれた音楽でした。

そんなこんなでロシアのインディーばっかり聴いていたら、突然ロシアがウクライナに侵攻しました。ロシアのインディーバンド達はSNSにショックと動揺と反戦の意思を投稿し続けていました。固唾をのんで見守っていましたが、世界の大事件がこんな風に生の国民の声で自分のところに伝わってくるという事実に、時代の変化をまざまざと感じました。
ニュースで見るロシア国民は型にはまっていて、素顔がなかなか見えません。日本人はロシアの事をほとんど知らないので無理もありません。でも音楽を通してこうしたバンドの生の声を毎日聞いていれば、ただのニュースではなく「自分の知っている人」の事のように感じられてきます。
ウクライナ侵攻に抗議したため、ロシア国内での活動を禁じられるバンドも続出しました。そのせいで解散しなければならないバンドもいました。好きなバンドが国家のせいで解散しなければならないなんて、この理不尽さに怒りを覚えました。

最初にこのブログのアカウントを取った時は(ウクライナ侵攻前)、単純に素晴らしい音楽をもっと聴いてもらいたいという一心からでした。でも今は、「ロシアにもプーチンと戦ってきた若者がたくさんいるんだよ」という事も伝えたいという気持ちで、ついに書き始めました。ロシアの音楽は政治的・社会的な事も分からないとなかなか理解しにくいので、英米の音楽のブログをやってた頃とは段違いの調べ物の多さです。私はロシアの専門家でもなんでもない、ただの音楽好きなのでいろいろ勘違いしている所や無知な所もあると思いますが、気付いた方はどうぞ指摘してください(ただしロシア政府のプロパガンダと違う、というのはNGです)。

また、このブログはいわゆる共産趣味や軍事関係の「ロシアクラスタ」向けではなく、普通のインディーロック好きの人に向けて書いています。日本の「洋楽メディア」は英米の音楽に偏り過ぎです。折しもイタリア出身のマネスキンが日本でも人気が出てきていますが、非英語圏の音楽ももっと紹介すべきです。日本のインディーロックも今はレベルの底上げが目覚ましいですが、世界的に非英語圏の音楽がちょうど成熟してきた時期なのだと思います。英米のインディーが好きなら、ロシアのインディーの素晴らしさに感嘆することと思います。

ロシアの音楽との出会いなど、より詳しい事はこちらに書いています。

はじめに

まずは音を聴いてみてください!オリジナルプレイリストです。若手バンドばかりを集めました。

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