Russian Indie Guide-ロシアのインディーロックガイド

ロシアのインディーロック、その知られざる素晴らしき世界

Molchat Doma (Молчат Дома)

Molchat Doma

Molchat Doma Facebookより
バンド名(ラテン表記) Molchat Doma
バンド名(ロシア語) Молчат Дома
出身地 ベラルーシ
活動期間 2017-
ジャンル post-punk, dark wave, synth-pop
オフィシャルサイト MOLCHAT DOMA
音源・動画サイト Apple Music spotify Amazon Music youtube bandcamp Discogs
SNS instagram Twitter facebook VK

 

バイオグラフィー

Molchat Doma(Молчат Дома / "House of Silent"の意味)はベラルーシミンスク出身の3人組。現在のSovietwave/ロシアンポストパンクの海外人気を牽引するバンドである。メンバーはEgor Shkutko(Vo)、Roman Komogortsev(G, Synth)、Pavel Kozlov(B, Synth)。
2017年にデビューアルバム「С крыш наших домов (From The Roofs of Our Houses)」を自主制作 でリリース。同年ドイツのDetriti Recordsからこのアルバムが再リリースされる。2018年9月には2ndアルバム「Этажи (Floors)」が同レーベルからリリースされる。
彼らの2枚のアルバムはYouTubeやBandcampで人気を博し、ネット上での知名度ベラルーシ国内での知名度を上回る状態であった。
2020年1月にはアメリカのレーベルSacred Bones RecordsZola Jesus、David Lynch、John Carpenter、Merissa Nadler、日本のBoris等を擁する)と契約し、2枚のアルバムがアメリカでもリリースされる。この頃(コロナで自主隔離生活の頃)2ndアルバムの曲「Судно(Sudno)」がTikTokで爆発的に広がり、彼らが世界的に知られる発端となった。

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2020年には全米ツアーの予定があったがコロナで延期になる。そして同年9月には3rdアルバム「Monument」がSacred Bonesからリリース。
2022年は以前のコロナで中止になっていたUSツアーがアナウンスされていたが、2月のウクライナ侵攻でまた中止になるのかと危惧された。
2021年はヨーロッパツアーも大成功で、いよいよ初めてのUSツアーだったがなんとか無事にスタートでき、ソールドアウトも続出だった模様。Coachella Festivalでも演奏した。2023年もUSツアーが予定されていて、Cruel World Festival出演も決まっているようだ。

音楽性

彼らの音楽は、80年代のソ連のポストパンクからの影響とCureやJoy DivisionDepeche Modeといったイギリスの80年代ニューウェイヴ系からの影響を受けており、鉛色のロシアの曇り空とソ連時代の殺風景なコンクリート製集合住宅といったソ連時代の風景を思わせるような、典型的な「Sovietwave」である。歌詞はベラルーシ語ではなくロシア語である。陰鬱なヴォーカル、冷たいドラムマシンサウンド、メランコリックなギターリフとダークな要素てんこ盛りなのだが、一度聴くと耳について離れない印象的なメロディが魅力的だ。

アルバムジャケットも社会主義時代のブルータリズム建築やモニュメントを使っていてソ連感バッチリだ。2020年から21年のベラルーシ国内での反政府デモではMolchat Domaの曲を歌いながら人々は行進したそうだが(他にKinoなども)、彼ら自身は特に反政府的な事は歌っていない。自身の内面の事を歌っているそうである。とは言えベラルーシ国内での反政府活動を支援する発言をSNSでしており、ウクライナ侵攻にも反対する声明を出している。
ベラルーシというヨーロッパの東の片隅にある小国から、ネットのミュージックトレンドに乗ってUSレーベル契約を勝ち取り、パンデミック中にTikTokのバイラルで名前を世界的に知られ、実際にワールドツアーも大成功させる、というのは現代の音楽情勢を象徴するような売れ方だ。まだまだ若いしこれからの活躍が期待されるバンドである。

Molchat Domaについてはこちらの記事でも書いているのでどうぞ。

russianindieguide.hatenablog.com

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